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京都散策・14 【伏見と大山崎山荘美術館】

3/5(日)は女房殿とカズモン様と3人で湖東三山を巡り、雄琴温泉で一泊。翌3/6(月)は大阪の我が家へ帰る途中で石山寺に立ち寄ったところまで「近江散策・湖東三山と石山寺」として日記に書いた。今回は、滋賀から県境を越え、京都の山科に入ったところから続けよう。

高速を使わずNaviに頼って山間の羊腸の道を往く。車がすれ違えない狭い道で少々困ったが致し方ない。目的地は伏見の酒蔵である。土産も色々買えるし、利き酒もできる。

京都好きでも、意外にここへ足を伸ばさない人もいるので、言わば穴場的な場所でもある。

峠を二つ三つ越えると、ようやく見知った宇治界隈に出た。そして月桂冠大倉記念館へ。

ガイドブックには以下の説明が書かれている。

「酒造りや日本酒の歴史をわかりやすく紹介する酒の博物館。昔の酒造用具を工程にしたがって観覧でき、吟醸酒やプラムワインの試飲もできる。一帯は酒どころ伏見を象徴する白壁土蔵の酒蔵が建ち並び、本場の酒造りの雰囲気と自然に恵まれた昔ながらの風情が楽しめる。」

入場料は300円だが、お酒(価格300円)を土産としてもらえるので実質無料である(笑)。

何度来ても、新しい発見があるので楽しい。見学を終えた後は利き酒。私は車の運転をしているので利き酒はNO。胸に呑めない旨のシールを貼られて、博物館見学。

そして、お土産。主婦にとってはこのお土産コーナーも楽しめるであろう。私は利き酒用の蛇の目ぐい呑みを、ついつい購入してしまった。お土産は買わないつもりであったのに。

その後、伏見界隈を散歩。寺田屋なども見つつ昼食。そして一路、我が家へ向かった。

カズモン様、我が家で一泊。愛犬モコが嬉しくて皆にじゃれついていたことを記しておこう。

翌日の3/7(火)、カズモン様を私が京都まで送っていくことになった。女房殿は用事があるため、私が案内をする。自由人は、時間に縛られないので、こういう時はチョッピリお役立ちできる。

カズモン様はどうしても行きたい美術展があるという。それは、アサヒビール大山崎山荘美術館で開館20周年特別展として開催されている「ロベール・クートラス 僕は小さな黄金の手を探す」展である。

私はロベール・クートラスという画家をよく知らない。

「ロベール・クートラス(1930-1985)は、フランス・パリ生まれの画家で当時「現代のユトリロ」、「第二のベルナール・ビュフェ」として売り出されました。画家は、流行に左右される美術界での活動に苦しみ、画廊を離れ困窮のなかで制作することを選びます。画家が生涯をかけて描いたのは、小さな紙片を独自の神話のイメージや抽象的な模様で彩ったカルト、人間と動物の間のような生物が佇む静謐なグアッシュといった、一見ユーモラスななかに静かな悲しみを湛えた作品でした。」と書かれた展覧会の紹介文を読んで興味を持ったので喜んで同行することにした。

9時に家を出て阪急電車に乗り、大山崎駅へ。私も大山崎山荘美術館は「野口哲哉展・野口哲哉の武者分類(むしゃぶるい)図鑑」展以来、2年ぶりである。

駅からは送迎バスも出ているのだが、天王山近辺の雰囲気も良いのでブラブラと歩いてゆく。車だとすぐであるが、歩くとそれなりの坂が続く。昨日の湖東三山に続き、坂道ばかり歩いている気分である。

息を切らしながら美術館正門前に到着したのは開館5分前。すでに10人近い人が待っていた。中には白人観光客も何人かおりクートラスの人気のほどが知れる。

10時開門、そして美術館へ。

この美術館、外部だけではなく内部もとても素敵な洋館なのだが、残念乍ら写真撮影禁止である。

さて「ロベール・クートラス」展だが、中々面白かった。クートラスは私の娘が生まれた年に亡くなっているので、私と生きていた時代が結構かぶる作家である。日本中がバブルで浮かれていた頃、パリの片隅でこんなに暗く重い絵を書き続けていたのかと思うと何とも言えぬ気分になってしまった。カズモン様は芸術家の要素を多分に持たれている方なので、これらの作品はかなり刺激的なものに写ったことであろう。

カズモン様は図録(3,700円)を求められていた。私はポストカードでも・・・と思ったのだが、こちらは完売。少々残念であったが致し方ない。でも良いものを見た充足感を味わえたのでヨシとしたい。

美術館を出ると、すぐ隣に宝積寺(宝寺)の三重塔が見える。

夏目漱石が建設中であった山荘(大山崎山荘美術館)を訪れ、「宝寺の隣に住んで桜哉」の句を詠んだことを思いだした。

山崎の合戦時、この辺りに秀吉の本陣があり、この宝積寺の塔は「秀吉の一夜造りの塔」と呼ばれている。宝積寺に行くと塔は墓地の中にあるので、美術館から眺める方が風情があるかもしれない。

天王山の坂を下り阪急の大山崎駅に戻る。次に向かうのは五条である。カズモン様は焼き物を見たいという。

実は、我が家に一泊したとき、私のご飯茶碗が気に入ったらしい。私は焼き物好きである。現在、ご飯茶碗は4つ使用していて、その内のひとつは島岡達三の飯茶碗である。人間国宝の茶碗を普段使いし、食洗器にかけている人間はあまりいないのではなかろうか。考えれば豪気かもしれない(笑)。でも使い勝手としては、あまりよろしくない。私が一番気に入っているのは清水焼である。この茶碗、実に使い易いのである。それを見てカズモン様もいいなと思われたらしい。

大山崎から四条河原町へ出て、花見小路をブラリとしながら食事。

寒いなあと思ったら霙が降りだしたのには驚いた。

そして京阪電車に乗って清水五条で下車。ブラブラと清水寺方面へ歩いてゆく。幾つかの陶磁器屋を覗きながら京都陶雅会へ。そこで、じっくりカズモン様は、ご飯茶碗とマグカップを選ぶ。私は特に買う気もなかったのだが、箸置きが気に入ったので私と女房殿用に2個購入。

考えてみると焼き物ほど好みが分かれるものはあるまい。百者百様、それゆえ個性がでて面白い。

カズモン様も満足されたようで何よりであった。

帰り道、和装小物の店や和菓子屋に寄りながら地下鉄五条まで出てJR京都駅へ。

16時に到着。ここでカズモン様とお別れである。3日間であるが、楽しい一刻を過ごせたので、感謝、感謝である。

さて、帰るためには、再度四条に戻り、阪急か京阪に乗りたい。JRでも帰ることはできるが遠回りである。

四条駅到着。よく考えると今、東山花灯路が行われている。東山花灯路は毎年訪れている行事である。折角、京都まで来ているのだから覗いてみても良いかなという気分になった。しかし、花灯路が始まるまで2時間ばかりある。とりあえず八坂神社方面へ向かうことにした。

先ずは六角堂へ。そして、ぶらぶらと歩いてゆくと、やがて祇園白川に着いた。ここでスナップなどを撮っていたところ、何故だか急に東山花灯路に行くのが億劫になってきてしまった。この3日間、静かで長閑なところを歩いてきたからかもしれない。

中国語や韓国語が飛び交い、混雑する東山界隈に行くのが厭になってしまったのである。花灯路の撮影スポットは頭に入っているが、夜の古都の風情を写し取ることは、今の状況、今の私の気分では無理だと思い、帰宅することにした。

17時を回ったばかりなのでサラリーマンも帰宅する前で、今であれば電車も座って帰ることができよう。カメラを仕舞い、京阪の祇園四条駅へ。

ま、京都の空気を吸えただけでもヨシとしよう。今回の京都散策は、これにて終了である。