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「TOMORROW WE MOVE Demain on dmnage」

  MUBIで配信のシャンタル・アケルマン映画

 「Demain on dmnage」。

 アケルマン映画としては「ゴールデン・エイティーズ」

 や「一晩中」など、かつての作品を思わせるジャンル、

 ほぼ室内劇コメディと言える

 この作品は、しかし凡百のコメディとは違い、半ば演劇的、

 時にキートンなどスラップスティック・コメディ的破壊力と

 映画的リズムが交錯する、

 その意味ではアケルマンらしい「映画」。

 母娘の二人暮らしのアパートメントを中心に、

 その引越しの前に居住者を募集、そこに集う人々との

 交流が半ばから後半にかけて展開され、

 そのあたりはやや人物に振り回される嫌いもありますが、

 特に前半のリズム感、映画がこの作品の中で揶揄される

 現実主義を超えんとする振る舞いと強引な演出が、

 かつてのパニョルやルノワールが持ち得ていた

 フランスのコメディを復活させるかのようです。

 2004年という時期にこれほどの一件、楽天的な

 コメディが作られていたことに今振り返ればびっくり

 させられますが、

 

 しかし同時にパリのアパルトマンを移動し、

 その中で消えていくもの、残されるもの、

 移りゆくものが間接的に

 表され、

 若い女性がどういうわけか赤ん坊とともに

 二人暮らしをする羽目になる、

 その物語の推移もはっきりさせず、

 全てを暗示にとどめつつも、

 その不穏な未来を予感させるのも

 アケルマンらしい時代の見据え方ではあったかもしれません。

 おそらく公開時期にはほとんど話題ににも登らなかった

 この作品の価値はむしろ今の方が見えてくる

 ものがあると思われ、

 アケルマンのほぼ代表作の一つ、とあえていうべき

 作品ではあるのかもしれません。